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テオドール・クレンツィス@モスクワ音楽院大ホール

今月はじめ、モスクワ音楽院大ホールであったテオドール・クレンツィス(Теодор Курентзиc)のコンサートに行ってきました。曲目は125名のオーケストラによるマーラーの交響曲第6番。
この曲自体は1904年に作曲されたもの。クレンツィス曰く「大きなオーケストラには最良の曲目」だそう。i
クレンティスはギリシャ生まれ、サンクトペテルブルグ音楽院で指揮法を学び、2007年と2008年に「黄金のマスク演劇賞」の2回の受賞歴もあります。2004年から2010年の間はノボシビルスク国立歌劇場と同管弦楽団の音楽監督を務め、現在はペルミ国立オペラ・バレエ劇場の芸術監督、そしてアンサンブル・ムジカエテルナ/ムジカエテルナ室内合唱団の芸術監督を務めています。現在世界から注目されている指揮者です。
クレンツィスのプロフィール(日本語)

私自クレンツィスのことは知らなかったのですが、知人から是非一度聴いてみたい指揮者なんだという話を聞き、調べた所運良く7月に音楽院である今回のコンサートを見付けました。しかし通常と比べてとても高価な上見付けたのが5月でコンサートの2ヶ月前だったのですが、7・8割のチケットがもう売れており、一番高い席で25000ルーブル/4万円ちょっと(!)でした。なな、なんと・・・

しかしコンサート当日、総勢100名を越えるオーケストラがぎっちりと舞台上に出てきたとき、全員連れてきたのならそれは仕方ないのかなと思いました。(それにしても異様なくらい高いですが^^;)

マーラーって実はそんなに好んで聴かないですし難解なイメージだったのですが、今回のコンサートでその思い込みは吹っ飛びました。クレンティスの破天荒(に見える)な指揮、呼吸が聞こえてきそうなくらい勢いのあるオーケストラに1時間半食い入るように聴き入って(見入って)しまいました。
クレンティスのだだっ子のような指揮には始めド肝を抜かれましたが、全身でマーラーが迫ってくる感覚は「面白い」の一言。指揮は勿論ですが振る舞いにも目が行ってしまう特異なオーラが彼にはありました。

第2楽章と3楽章の間に指揮台に腰を下ろして水を飲み、頭にかける姿には思わず笑ってしまいましたが・・・

あー、つかれた〜
あー、つかれた〜

そりゃ疲れますよね。

みるみる内にシャツが汗でべったりと背中に張り付き、そのすさまじさに前方の席の人は汗がかかっているのではないか?と思う程でしたが、その様子は本当に圧巻でした。

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若いオーケストラのメンバー達はこの指揮者の指揮に食いつくように挑んでおり、そこでまた化学反応が起こるというサイクルを繰り返しているのではないかと感じました。毎回、きっと何かしら違う波動を生んでいると思います。それくらい勢いのある楽団でした。彼ほどユニークで癖のある人だと場所によっては反発を買うこともあると思いますが、ノボシビルスク→ペルミと、芸術レベルは高く観客の目も肥えている場所でかつ地方都市というのが彼に自由な創作活動の場を与えることになったのではないかと思いました。これからの活動もとても楽しみです。個人的には是非彼のストラヴィンスキーを聴いてみたい♪

この日のコンサートの記事(ロシア語)

マーラーの交響曲2番の一部。指揮の感じが分かると思います↓

いつか彼らの本拠地、ペルミを訪れたいと思いました。

クルレンツィスのHP(ロシア語/英語)
ペルミ歌劇場のHP
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終了後も騒然としていたホール前

音楽って楽しい!と改めて感じた夜になりました。日本でも近い将来彼のコンサートがあるかも知れませんね。

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生活の中で芸術はなくても良いものかも知れません。しかしあるとより豊かになるものだと私は考えます。 人でしか紡ぐことの出来ない伝統の世界。色んな角度から眺めてみると、きっと新しい発見があるはずです。

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