NO IMAGE

ロマン・ヴィクチュクの世界 オスカー・ワイルド『サロメ』

先日『サロメ』を観てきました。
シュトラウスのオペラ『サロメ』ではなく、演劇の方です。
ロマン・ヴィクチュク劇場の『“サロメ” オスカー・ワイルドの奇妙な戯れ』です。
劇場はA・Jigarhanyana (А.ЖДИГАРХАНЯНА) 最寄りはウニベルシテート駅。
今年初の舞台鑑賞は演劇でスタートでした。

プログラムの表紙。このプログラム、15年以上前から変わっていないそうです。
プログラムの表紙。このプログラム、15年以上前から変わっていないそうです。
キャスト表とオスカー・ワイルドの写真
キャスト表とオスカー・ワイルドの写真

オペラ『サロメ』は

オスカー・ワイルドの耽美的、退廃的な戯曲を、R.シュトラウスが極彩色の音楽でオペラ化し、大反響を呼んだスキャンダラスな傑作。1905年にドレスデンで初演されるや衝撃と賞賛を呼び、R.シュトラウスは本作品でオペラ作曲家としての名声を確立しました。(http://www.nntt.jac.go.jp/opera/performance/150109_006151.html 新国立劇場オペラより)

サロメというと、オーブリー・ビアズリーの生首を持った独特な絵を思い浮かべる人が多いかと思います。

この絵は有名ですね
この絵は有名ですね

元々オスカー・ワイルドの戯曲自体がとてもスキャンダラスな内容だとは思うのですが、今回観たロマン・ヴィクチュク演出のものはもっともっとスキャンダラスでした。
というのも、

①まずサロメを男性が演じている
②女性出演者は母親役の1人のみ(しかしすごい舞台が締まりました)
③他の周りの男性陣も皆それぞれに異なったトランプ模様みたいな、どこか男色の香りを漂わせる衣装に身を包み、半裸の状態で踊りまくる
④最後はもっとすごく、サロメが肌色のパンツ1丁でロックに合わせて踊りまくる
というものです。

かなり端的な説明ですが・・・。言葉で説明すると顔をしかめられてしまうと思いますが、役者さん達は本当にとにかく「本気」です。
とことん、オスカー・ワイルド@ロマン・ビクチュクの世界に自分自身を、そして観客を引きずり込んでいきます。この演出をしたロマン・ビクチュクの世界観は彼の中で確立されているのだろうなと感じました。そうでないとこんな奇抜なこと思いつきません。

ピンとこないとは思いますが、とにかくどんな進行をするのかと目が放せない演出。
これは一度劇場へ足を運んで頂かなければと思います。

やけに女性のお客さんが多いな〜と劇場に入ってから思っていたのですが、終わってみて納得。
演出の面白さや役者さん達の演技力は勿論、肉体美を観たいと思ったら、これは冗談抜きで満足のいくものだと思います。カーテンコールの時は花束を手渡しする女性だらけ・・・

カーテンコール
カーテンコール

私自身、ダンサーなど筋肉質な身体を見慣れてはいますが、主役を演じたドミトリー・ボージンの身体はもう、本当に彫刻みたいでした。古代ギリシャ・ローマの人間の肉体美に理想的な美しさを加えた、とにかくヘレニズムという様な身体。ちなみにチラシには+18とあります。つまり18歳以上が対象。

正にこのチラシの写真通り。妖艶な存在感がすごかったです
正にこのチラシの写真通り。妖艶な存在感がすごかったです

舞台衣装や装置は赤と黒そして白を基調にしており、音楽の使い方は人間の欲望やどろりとした感情を煽る効果が非常に高く、また無表情な役者さん達が紡ぐ言葉、そして迸る彼らの存在感は、ロシアの演劇界の奥深さを感じました。舞台人の演技力はもう抜群です。
ビデオはこちら。かなり激しいですよ〜!

また上演情報が分かり次第ここでご紹介します。

バレエ、オペラ、そして演劇。特に古典に強いロシアですが、改めてみっちり古典を基礎として叩き込まれた役者さん達の強さ、そして彼らによって繰り広げられる舞台は異世界への誘いです。ぼぅっと呆けてしまった夜となりました。

ジガルハニャナ劇場лемоновский проспект 17
ジガルハニャナ劇場лемоновский проспект 17
NO IMAGE
最新情報をチェックしよう!
>総合芸術としてのバレエ

総合芸術としてのバレエ

舞台というものは演者たちだけでは成り立ちません。裏舞台で支えている多くの人々の尽力あってこそ表舞台がより引き立ちます。
建築・歴史・哲学・文学・音楽・美術・デザイン・踊り・歌、全てを包括しているのが劇場芸術です。
生活の中で芸術はなくても良いものかも知れません。しかしあるとより豊かになるものだと私は考えます。 人でしか紡ぐことの出来ない伝統の世界。色んな角度から眺めてみると、きっと新しい発見があるはずです。

CTR IMG