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先日ボリショイ・バレエ学校の留学生仲間で戦友(!)でもあるむっちゃんが、ニコライ・アンドローソフ率いるバレエ団、ルースキ・セゾニの作品に客演するということでその舞台を観てきました。

彼女が踊ったのはラディッシュ(写真1列目ピンクの衣装です)1幕50分/全2幕で、常に舞台に出ずっぱりでした。よくあの短時間で覚えたなーと感心…笑

 

このバレエ団は現在ルースカヤ・ペースニャという劇場に所属しているバレエ団で、監督のアンドローソフさんはイーゴリ・モイセーエフ出身という筋金入りの元民族舞踊ダンサー。なので振り付けもキャラクターダンス要素が強いというか、演者の個性が際立つようなというか、いわゆるクラシック・バレエとは異なる舞台です。
しかも彼は左利きで、振り付けも「え、そうくるか!?」というような、クラシックバレエダンサーが思う「普通はこうだろう」みたいな流れを見事に裏切られるらしく、なかなか身体に入りにくいと苦労していました。

もちろん、基本としてクラシック・バレエが踊れないと話にならないのですが、この国ではその基盤の上に各踊りのプロフェッショナリズムを築いているように思います。

 

そしてもちろん体つきも違います。

更にキャラクターダンスの特徴として、泥臭い人間模様や普段の生活、また民話を題材にすることが多いためか演技も重要視されており、ダンサーとしての実力はもちろんですが俳優としての要素もかなり求められる分野です。

 

この作品の原作はジャンニ・ロダーニ

ここは野菜と果物たちの暮らす国。玉ねぎ坊やのチポリーノが、無実の罪で牢屋に入れられてしまったお父さんを救いだそうと大活躍。仲間たちと力をあわせて、わがままなレモン大公やトマト騎士に立ちむかいます。痛快な冒険物語。小学5・6年以上。「BOOK」データベースより引用

主役は玉ねぎ。その相手役のヒロインはラディッシュ。ぶどうのおじいさんやバイオリン弾きの梨、レモン公と悪役のトマトなどなど、個性豊かな登場人物たちが繰り広げる野菜の国の物語。

作曲はハチャトリアンで(日本では「剣の舞」で有名ですね)ところどころバレエ「スパルタクス」を彷彿とさせるようなドラマチックな曲調もありますが、基本的に楽しく耳に残るフレーズが多いのが特徴です。

 

お昼の部を観に行ったということもあり、ちびっこだらけで大盛況。子ども向けの作品にしては長い作品だとは思うのですが、皆飽きることなく食い入るように舞台に見入っていました。演出はもちろんですが舞台装置の色味や個性豊かなキャラクター、そしてお客さんを巻き込む演者達の演技力の高さはさすがだなという感じでした。(特にトマト。笑)こういう作品に小さい時から当たり前のように触れられる、またそういった作品をレパートリーに持ち、常に上演し続ける劇場運営。そういう伝統は廃れずにずっと続いて欲しいなと思います。このような活動の重要性は今すぐに結果が出るものではないとは思います。ただ、子ども達と一緒に時間を共有する家族の間に、人生の中の豊かさとして蓄積されていくものなのだと思います。

1961年のソ連アニメはこちら。ボリス・ジョーシキン監督作

あちこちのダンサーを借り出しての舞台でかつリハーサルの時間も少なかったようですが、‘やってのける’ロシア人のダンサー達の舞台根性には感心させられました。作品としてまとまっていると観せられるものになるというか、やはり基本的に舞台は演出ありきだということも改めて実感しました。

アンドローソフさん率いるルースキー・セゾン@ルースカヤ・ペースニャのサイトはこちら

instagramにカーテンコールの動画もアップしていますmoeha_mavita

 

それでは素敵なクリスマスを♪

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総合芸術としてのバレエ

舞台というものは演者たちだけでは成り立ちません。裏舞台で支えている多くの人々の尽力あってこそ表舞台がより引き立ちます。
建築・歴史・哲学・文学・音楽・美術・デザイン・踊り・歌、全てを包括しているのが劇場芸術です。
生活の中で芸術はなくても良いものかも知れません。しかしあるとより豊かになるものだと私は考えます。 人でしか紡ぐことの出来ない伝統の世界。色んな角度から眺めてみると、きっと新しい発見があるはずです。

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