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未上演の子供向けバレエ作品「とんぼとあり」@ボリショイ劇場芸術展

肌寒い日が続くモスクワです。

ボリショイ劇場芸術展開催にあたり、Instagramで新しいアカウントを作り日々更新しておりました。

mavita_bolshoi のアカウント こちらクリックするとページに飛びます

そしてこれからこのinstagramにも紐づけて、以下の趣旨でこのサイトでも情報をアップしていこうと思います。

 

1776年に創設されて以来、243年の歴史を持つボリショイ劇場。

その長い歴史の中で、人気がある作品がレパートリーとして残ってきたわけですが、
構想を練っても未上演で終わったものや、2、3回の上演で打ち切りになってしまったもの
政府から圧力がかかってしまったもの(ロシアの歴史を考えると当たり前にあることですが)などなど

消えてしまった幻の作品も山ほどあります。

そして振付家・演出家・デザイナー・作曲家などのクリエイティブな人たちが沢山関わってきており
今日に続く作品は時代の流れの中で刷新されてきています。

劇場という箱があって、舞台芸術は土地や人々に根付く文化なのですね。

日本での展示会で公開できるものから連れていけないものも沢山あります。
instagramにも紐づいているので、日々そちらからもチェックしてみてください。詳細をこちらでご紹介していきます。

これからこの趣旨の元、いろんな作品や舞台の構成要素の一部をここで綴っていきたいと思います。

 

 

まずはこちら。ソ連アニメに関連した作品のイラストを発見しました。

子供向けバレエ【とんぼとあり】1951年

instagramでもアップしたものです。ページに飛びます

イワン・アンドレーヴィチ・クリーモフという作家の1808年の寓話が元になっています。

 

ボリショイ劇場での作製に関わったのは

А.Л.Птушко アレクサンドル・プトゥシコ (映画監督・アニメーター、ソ連人民芸術家)*余談ですがこの人はソ連映画「石の花」の監督でもありました

Л.И.Мильчин レフ・ミリーチン(映画監督・アニメーター・名誉芸術家)

Ю.М.Ефимов ユーリー・エフィーモフ(ソ連/ベラルーシの指揮者・国民芸術家)

1951頃にこの方達によってソ連アニメ「とんぼとあり」を子供向けの舞台作品として上演しようと試みた作品。

いわゆるイソップ童話の「アリとキリギリス」と同じような内容なのですが
こちらのアニメ、ソ連の人々の様子がよく描かれています。「労働」の尊さを謳ったアニメ。プロパガンダ的なものですね。
しかしソビエトアニメはやはり音楽の使い方、優しい動き、表情の豊かさ、そして独特の色遣いが特徴的です。

 

こちらの記事でもご紹介しましたが、アニメ界で経験を積んだ人たちが舞台の世界でも活躍しています。

ボリショイ劇場美術館100周年記念展 

上のアニメを見ていただくとわかるのですが、いろんなキャラクターが登場します。

 

そして、

毛虫に乗った動物や昆虫たちだけでなく、実はこんなキャラクターも考案されていました。

アイスクリーム売り子猫さん。笑 Кошки-Мороженщицы 1951
ちょっとセクシー系なのかなと

 

あとはこちら。
お母さんスズメが双子スズメを乳母車に乗せています
Воробьиха с детьми 1951

車体はいがぐりで車輪はきのこ??

 

なんと素朴で可愛いのでしょうか。(一瞬おばあちゃんスズメと孫スズメっぽいですが笑)
アニメには登場しないキャラクターを、舞台では色々と創作しようと考えていたのでしょうね。

 

上演に至らなかった明確な理由は分かりませんが、当時、時代の先端を行くアニメーターや監督たちが集まって、オーケストラの音楽の構想も練りながら、想像の限りのキャラクターたちを思い描いてあーだこーだと意見を出し合っていたのだろうなと思うと、ワクワクしますね。

この絵柄の絵本があればいいのになと、妄想は広がります。笑

 

この先、新しいクリエーターたちが再現&今の時代に合わせて造ってみよう!となる日が来るのかも知れませんね。
無限の可能性が舞台には広がっています。

 

 

おまけ/ご参考:

А.Л.Птушко プトゥシコのドキュメンタリー(ロシア語)

久しぶりの『スパルタク』

4月初旬、久しぶりにボリショイ劇場の『スパルタク』を観て来ました。

カーテンコール

現在ボリショイ劇場で上演されているグリゴローヴィチ版の同演目は1968年の4月9日が初演でした。つまり今年は丁度50周年に当たる年。久しぶりにハチャトリアンの壮大な音楽と、男性ダンサー総動員の迫力のある舞台に大興奮。笑

1968年の初演の際、指揮をしたのは現在もボリショイ劇場の指揮者を務めているゲナーディー・ラジデェストヴェンスキー(Геннадий Рождественский)だったのですね。彼も86歳でまだご健在。現在91歳のグリゴローヴィチしかり、天才たちと今を共有出来るということはとても幸運なことだと思います。

グリゴリーヴィチの演出は無駄なマイムを排除して、ダンサーのステップで音楽を見せるというものですが、そのステップの中に登場人物たちの葛藤、愛や仲間への思いを込め、また音楽の旋律は彼らの感情を最大限に生かす役割を担っています。音楽と演出、振り付けや舞台装飾と、舞台を作る一つ一つの構成要素が合わさって全てがピタリとはまる。それが舞台芸術の素晴らしさであり、生物というドラマを仕立て上げます。

主役の4人。カプツォーワ、ロブーヒン、シプリナ、ボロチコフでした

ダンサーたちはその表舞台を飾る代表であり、総仕上げを担っている責任重大な人たちですが、ダンサー含め舞台に関わる全ての人の尽力あってはじめて、お客さんを楽しませることが出来ます。

「完璧」な本番を提供することがいかに大変か…

バックステージツアーでは、舞台の裏方さんたちの作業風景や、歌手やダンサー、オーケストラの練習風景、また照明調整の場を垣間見ることがあります。(*注:劇場スケジュールは毎日違っているので見学出来る日と見学出来ない日があります)

本番とは違う普段の劇場の姿に触れる度に思うのは、
舞台だけでなく、どんな物事も自分一人の力だけでは成し得ない事が沢山あるのだなという事です。

現在マリウス・プティパ特集をしている特別展示室より

舞台ってやはり全身で楽しむのもだなと、改めて感じた夜となりました。