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4月初旬、久しぶりにボリショイ劇場の『スパルタク』を観て来ました。

カーテンコール

現在ボリショイ劇場で上演されているグリゴローヴィチ版の同演目は1968年の4月9日が初演でした。つまり今年は丁度50周年に当たる年。久しぶりにハチャトリアンの壮大な音楽と、男性ダンサー総動員の迫力のある舞台に大興奮。笑

1968年の初演の際、指揮をしたのは現在もボリショイ劇場の指揮者を務めているゲナーディー・ラジデェストヴェンスキー(Геннадий Рождественский)だったのですね。彼も86歳でまだご健在。現在91歳のグリゴローヴィチしかり、天才たちと今を共有出来るということはとても幸運なことだと思います。

グリゴリーヴィチの演出は無駄なマイムを排除して、ダンサーのステップで音楽を見せるというものですが、そのステップの中に登場人物たちの葛藤、愛や仲間への思いを込め、また音楽の旋律は彼らの感情を最大限に生かす役割を担っています。音楽と演出、振り付けや舞台装飾と、舞台を作る一つ一つの構成要素が合わさって全てがピタリとはまる。それが舞台芸術の素晴らしさであり、生物というドラマを仕立て上げます。

主役の4人。カプツォーワ、ロブーヒン、シプリナ、ボロチコフでした

ダンサーたちはその表舞台を飾る代表であり、総仕上げを担っている責任重大な人たちですが、ダンサー含め舞台に関わる全ての人の尽力あってはじめて、お客さんを楽しませることが出来ます。

「完璧」な本番を提供することがいかに大変か…

バックステージツアーでは、舞台の裏方さんたちの作業風景や、歌手やダンサー、オーケストラの練習風景、また照明調整の場を垣間見ることがあります。(*注:劇場スケジュールは毎日違っているので見学出来る日と見学出来ない日があります)

本番とは違う普段の劇場の姿に触れる度に思うのは、
舞台だけでなく、どんな物事も自分一人の力だけでは成し得ない事が沢山あるのだなという事です。

現在マリウス・プティパ特集をしている特別展示室より

舞台ってやはり全身で楽しむのもだなと、改めて感じた夜となりました。

 

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>総合芸術としてのバレエ

総合芸術としてのバレエ

舞台というものは演者たちだけでは成り立ちません。裏舞台で支えている多くの人々の尽力あってこそ表舞台がより引き立ちます。
建築・歴史・哲学・文学・音楽・美術・デザイン・踊り・歌、全てを包括しているのが劇場芸術です。
生活の中で芸術はなくても良いものかも知れません。しかしあるとより豊かになるものだと私は考えます。 人でしか紡ぐことの出来ない伝統の世界。色んな角度から眺めてみると、きっと新しい発見があるはずです。

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