ボリショイ日本公演に思うダンサーのキャリアについて

6月1日からボリショイバレエの日本公演が始まりました。まずは広島から、
そして本日4日からは東京文化会館で「ジゼル」と「白鳥の湖」が連日上演されます。

ワジーエフ監督はゲネプロの際、常に舞台の上でうろうろしてダンサーに指示を出しています。なかなかうるさい。笑

先日早稲田大学の方でまたバーチャル・バックステージツアーの講義をさせて頂く機会がありました。その時にダンサーについても色々調べていたのですが、今回の来日公演にあたってのダンサーたちへのインタビューや他の劇場内部の人たの話によると、どうやら2016年は出産ラッシュだった様です。
パパ・ママになったダンサーの多いこと。笑

ボリショイ劇場で活躍しているダンサーは20代が多く若いダンサーが主です。
ロシアではバレエ学校で10歳から18歳の8年教育を経て、国内外の劇場へ入団してプロのダンサーになるのですが、入団してからグンと伸びるダンサーもいれば、学校で才能があると言われていた子がそのまま活躍したり全く名前を聞かなくなることもあったり、皆それぞれです。
30歳を過ぎて来ると、肉体の衰え、プライベートの比重が増える(出産や子育てなど)ので、やはりキャリアをどう築いていくかは常に課題となっています。それは20代でももちろん同様ですし、ダンサーという職業に特化した話ではなくどの職業であっても同じ状況だとは思います。

しかしダンサー生命は非常に短く、日々の鍛錬を欠かすことが出来ない肉体労働です。平均的には40前後で引退です。怪我や色々な都合によってもっと早くキャリアを終えるダンサーも勿論沢山います。
自分たちのモチベーションもそうですが、身体と向き合い維持し向上させなくてはならない厳しいアスリートの世界なんですね。

産休に関してはロシアでは社会的な制度がちゃんとしていますが、やはり働くママを支えるのは周りの家族はもちろん、国や社会の制度ありきだよな、と改めて思います。あとは社会の意識も問題ですね。

プリマのオブラッツォーワは産後3ヶ月くらいで復帰していましたし、踊りにかける情熱はすごいなと思います。

舞台転換作業中。ジゼルの1幕から2幕へ

たまたま見つけたクリスティーナ・クレートヴァとアルチョム・オフチャレンコのちょっとしたドキュメンタリーです↓
はじめにクレートヴァが自己紹介をしていますが、そこで自分は朝起きた時に「私はバレリーナだわ!」と思って起きるのではなく、まずはママとして起きて息子ちゃんの朝食を作って・・・と、第一にママであり女性であり妻でありと、いろんな役割を持っているのだと言っています。どの様な立場であれ、その人の周りにはいろんなことが関わっており人生は多面的です。

オフチャレンコは毎日の朝のレッスンはより長くプロフェッショナルとしてキャリアを築いていくために欠かすことが出来ないものだと述べています。

なんでもそうですが、継続することこそ何事にも共通するプロフェッショナルの道ですね。というか、コツコツ努力できる人こそその道に残る人だとも思います。

それは何もバレエのキャリアの話だけでなく、仕事をする上で大事なことであり、結果自分に返って来るものなのだと思います。

・・・日本公演とは全く趣旨の違う話にはなりましたが。笑
今回の来日公演が総合芸術としてのバレエを観る機会の少ない日本のバレリーナのタマゴちゃんたちにとっても、刺激ある舞台となれば良なと思います。

舞台芸術を支える表舞台のダンサーと、裏舞台で尽力する見えない全てのスタッフの皆さんに、それぞれのプロフェッショナリズムを大事に頑張って欲しいですね。

私の職業は寝ることです
舌出てますよー

 

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2 thoughts on “ボリショイ日本公演に思うダンサーのキャリアについて

  1. 東京公演初日6/4のマチネーから東京文化会館は満員御礼、発売まもなく完売のザハロワさん以外の公演でも大入りの札が続出しそうな大変な熱気でした。同じジゼルでも頂点はこれほど違うものだということ、頂点を極めたプロフェッショナルはここまでやるものだということを若いダンサー志望の皆様に知ってもらいたいと感じました。オケのソリストの方々の演奏も素晴らしかったです。

    1. コメントありがとうございます♫満員御礼は嬉しいですね。
      オブラッツォーワのジゼル、良かったと知人からも聞きました。会場の皆さんも惹きつけられただろうなーと思います。
      踊るダンサーと、オケとの呼吸や会場の空気など、舞台はお客さんとの共鳴で完成するものだと思います。
      時代による変化や好まれるダンサーの傾向等はあると思いますが、根本的には変わらない伝統をずっと引き継いでいます。
      色んな要素が織り合わさる舞台芸術って、やはり贅沢ですね!

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