先日行ったラトビアのリガではたまたまですが、バクスト展を見付けてしまいました。
現在モスクワのプーシキン美術館でも開催中ですが、ここでも・・・!と一気にテンションが上がってしまいました。
今年はバクスト生誕150周年の年に辺り、あちこちで展示会が開催されているんですね。
レオン・バクストは1866年現在のベラルーシ生まれ。一家で当時ロマノフ王朝の都であったサンクトペテルブルグに移住しペテルブルグ帝室美術院で美術を学びます。1898年からディアギレフが手がけた「芸術世界」の表紙や挿絵などを任されるようになり、その名が知られるようになっていきました。1909年よりディアギレフ率いるバレエ・リュスが旗揚げされ、バクストはこのバレエ団の舞台装置や衣装のデザインなどを行うようになり、「火の鳥」「バラの精」「シュヘラザード」「牧神の午後」「青神」など、現在でも高く評価されている作品を手がけています。
2007年に京都国立近代美術館で開催されたバレエ・リュス展を京都で見に行った時、衣装の色合い、空気感、特にバクストの衣装デザイン画からは、ロシアで感じていた雰囲気がそのままそこにあり、懐かしいとしか言えないものでした。私の中でのロシアの色合いのイメージはバクスト。と、ちょっと大げさですが、そんな感じです。
この懐かしさからかなり興味を持ち、この展示会をきっかけに大学では改めてバレエの要に当たるバレエ・リュスに焦点を当て調べるようになりました。
さて、リガのART MUSEUM RIGA BOURSEで開催中のバクスト展。
バクストだけでなくジャン・コクトーやシャガールなどバレエ・リュスに関わった画家やアーチスト達の作品、プログラムや衣装、デザイン画、絵画など石造りの古い美術館の空間にしっとりと収まっていました。
ディアギレフ率いるバレエ・リュスは1909年から1929年のディアギレフの死まで続き、ロシア・バレエ団とも呼ばれていました。20世紀初頭のヨーロッパでは衰退の途を辿っていたバレエ界に新風を巻き起こし、ロシアバレエの高い水準を見せつけただけでなく、エキゾチックな衣装やデザインは瞬く間に女性達を虜にしてモードの象徴にもなり、更に現在でいうモダンバレエの発展の要となる存在となりました。イタリアで生まれフランスで確立されたバレエを、ロシアで更に成長させ西欧に逆輸入したバレエ団なんですね。
バレエ・リュスに関わった芸術家は本当にびっくりするくらい豪華なメンバーです。ダンサーはミハイル・フォーキン、ニジンスキー、バランシン、音楽家はプロコフィエフ、ストラヴィンスキー、ラヴェル、ドビュッシー、美術はピカソ、マティス、ミロ等々挙げ切れていません。またシャネルも金銭的な援助をしたことも有名です。何か面白く新しいことをやってやろうというディアギレフに、沢山の芸術家が賛同し化学反応を起こしていたんだと思います。当時若手だった芸術家を早くから見抜き、また成熟していた芸術家とも関わり舞台を作り上げていたんですね。何て贅沢!としか言いようのない仕事っぷりです。その時代に行ってみたいです。ただ押しの強いディアギレフとは喧嘩別れする仲間も沢山いたようです。
しかしこのディアギレフを突き動かしていたのは芸術へ信念と明確なビジョン、そして絶対出来るはず!と言うものではないかなと思います。
楽しいことをやってやろうという思いが根本にあると、人はどんどん巻き込まれていきますよね。
サプライズで大満足なリガでの一時でした♪
モスクワのプーシキン美術館でも《レオン・バクスト生誕150年展》は8月28日まで開催中です。
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