通行許可証って・・・😨

感染者が18000人を超えたロシアでは一斉に除菌作業をしたり新しい法令が出たりする中、15日より公共交通機関、車やタクシーでの移動に通行許可証取得をという御触れが出ました。

携帯でダウンロードして取得するシステムですが、いやはや、どこまで厳しくなるんだろうーと。

 

通りを覗くとまだ普段と変わらず車は減っていないように思いますが…

 

さて、自粛生活が続く中、ボリショイ劇場も第二弾としてYouTube配信を続けることになりました。

スケジュールは以下です。

 

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4月15日バレエ『海賊』
18日バレエ『スパルタクス』
21日オーケストラとオペラのソリストによるコンサート
25日バレエ『現代の英雄』
29日オペラ『エカテリーナ・イズマイロワ』
5月3日バレエ『明るい小川』
7日バレエ『ドン・キホーテ』
30日オペラ『サトコ』

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ちなみに、5月30日の『サトコ』は今年2月に初演があったばかりの作品。太っ腹!

 

ということで、恒例?のふぁーにゃによる作品紹介をさせて頂きます。

 

ふぁーにゃ
ふぁーにゃ
ねぇねぇ、なんでいつも家にいるの?たまに不思議になるけど

 

ふぁーにゃ
ふぁーにゃ
自宅待機ってこういうことなのね

 

はい。猫たちにとっては嬉しいのか迷惑なのか分かりませんが。

寝ても覚めても飼い主がおる、とぼんやり思っているのでしょう。まぁ気にせず寝てますね。

 

 

『海賊』に関していうと、ちょっと長い演目なので劇場で観るの結構疲れる・・・というのが正直なところなのですが。しかし華やかで夢とロマンに溢れた冒険物語。

 

ふぁーにゃ
ふぁーにゃ
夢とロマン、仲間とか裏切りとか。あーヤダヤダ面倒くさい

 

といきなり毒を吐いておりますが…そう、この作品は英国ロマン主義の詩人、バイロンの長編大作「海賊」を題材に1856年パリ・オペラ座で上演されたのが初演。その2年後にサンクトでも上演され、1866年から99年までの間に改良に改良が重ねられ、切り貼り上塗り加筆が繰り返し行われそれでも現代までしっかり生き残っている作品です。

音楽もアダンがベースでそこにドリーブ、ドリゴ、プーニ、オルデンブルグ等々の作曲家の音楽が使用されています。しかしうまくまとまっているのがこの作品の魅力でもあります。

 

ふぁーにゃ
ふぁーにゃ
つまりはつぎはぎなのね

 

こらこら

 

そしてこの『海賊』、日本では全幕で上演されることが少ない作品なのですが、2幕のコンラッドとメドーラ(そして版によってはアリというコンラッドの忠臣である奴隷3人による)パ・ド・ドゥという踊りが最大の見せ場で、ここだけ切り取ってガラコンサートでも良く上演されます。

ボリショイの今回放送されるラトマンスキー版の前に改定されたグリゴリーヴィチ版でも、この奴隷アリは削除されています。

とにかく切って貼って繋げて変えて味付けしてとしている間に物語がかなり入り組んで複雑化しているのがこの作品の特徴です。

ふぁーにゃ
ふぁーにゃ
猫みたいに寝るのが仕事くらいシンプルなのが一番だわ

 

1899年のプティパ改訂版を元にした作品が現在の世界中の劇場のレパートリーに入っています。

 

登場人物は色々いますが、大本のあらすじは・・・

嵐によって難破した海賊船の首領・コンラッドと、誘拐されて奴隷市場に売られそうになっているギリシャ娘メドーラは恋に落ちる。そして海賊仲間とともに、そこにいた競売にかけられている娘たち(メドーラと友人ギュリナーラやその他)を助ける。

しかし娘たちがいなくなったコンラッドの部下、ビンバントは面白くなく、奴隷商人と手を組んでメドーラを誘拐してトルコ商人に売り飛ばす。そのトルコ商人の総督のハーレムで、メドーラはかつての友人ギュリナーラと再会。

コンラッドと海賊の仲間たちがそこに乗り込み、娘たちを救い出し大海原に旅立つ・・・

 

というのが大筋です。大本と言ったのがミソで、実はボリショイでは少し違っています。

 

ボリショイの作品もこの1899年のプティパのものを基礎としていますが、2007年にラトマンスキー(2004年から2008年までボリショイ劇場の総監督を務め今はアメリカン・バレエ・シアター在籍の振付家)が手を加えました。かなりオリジナリティに溢れています。というか、過去の資料を元に復元したとのことですが・・・

 

これだけ知っておけば大体追えるかと

⬇︎⬇︎⬇︎

海賊コンラッドは、奴隷商人の市場で美しい女性メドーラと出会う。メドーラに一目ぼれしたコンラッドは、トルコ総督パシャと彼女を誘拐して逃げる。

恋に落ちた二人は一緒に時を過ごすが、海賊仲間のビンバントはとにかくコンラッドの活躍が面白くない。このビンバントの裏切りにあい、またメドーラが連れ去られる。

 

余談ですが、連れ去られた先、3幕の花園のシーンでは多い時に80人以上のダンサーたちが一堂に会して踊りを繰り広げます。

 

ふぁーにゃ
ふぁーにゃ
ここのシーンはとにかく迫力満点。ぶつからないのかしらとワクワクするけれど

 

 

メドーラとコンラッドは奪ったり奪われたりの末に結局結ばれるのですが、一緒に大海原へと繰り出した船で仲間内で喧嘩が起こり、さらに嵐に遭い船は真っ二つに・・・

 

というおまけ付きです。

 

この最後はなんだか「それ、いるか?」というような感じなのですが(ネタバレですみません)とにかくすったもんだありまくりです。念の為最後まで是非ご覧下さい。

ただ、ダンサーたちのテクニック、衣装の豪華さは堪能出来る作品。そして3時間35分という大作。

 

ふぁーにゃ
ふぁーにゃ
え・・・YouTubeで良かった。飽きたら止めるわ

 

こらこら・・という感じですが、確かに長い作品なので調整しながらご覧ください。

 

踊りも見どころ満載、映画を見ているような舞台装置、演技も盛りだくさん。アドベンチャーワールドなので一気に観るのも迫力あります。

 

 

衣装も普段のチュチュ(円盤状の丸い衣装)より直径が長くなっておりデザインも工夫されています。衣装が綺麗になるのは良いことではありますが、近年の傾向として、従来の衣装より素材の重ねが簡単に作られるようになってきたからか、お尻の丸い感じが出てしまって個人的には気になってしまうのですが。

 

ふぁーにゃ
ふぁーにゃ
そうね。お尻丸見えっぽくなる衣装はどうなのって思うけど。猫に言われたくないんだろうけど

 

ふぁーにゃ
ふぁーにゃ
って、アタクシたち常にお尻丸出しっ

 

(⬆︎びっくりふぁーにゃ出ました)

 

とまぁ、衣装に関しては個人的な意見なのでご参考まで。

衣装の色使いや素材感などにも注目して観ると舞台って面白いですよ。

 

 

こちらクレムリン大会宮殿のグリゴローヴィチ版『海賊』全幕を見付けました。主役はアレクサンドラ・ティモフェーバというボリショイバレエ学校時代の同級生。Yahoo!ニュースで取り上げて頂いた時に取材中に偶然再会した同級生です。こちらの記事もご参照ください。Yahoo!ニュース「世界最高峰のボリショイ劇場 舞台裏で躍動する日本人元バレリーナ」

 

あとこれも個人的なものですが、以前属していたKバレエカンパニーの『海賊』を記念した時の映像がありました。YouTubeに上がっているので見られたことある方もいらっしゃるかとは思いますが、熊川哲也さんの歩みを改めて見て、Kバレエにいた時に舞台で、また舞台が創られる間ずっと感じていたエネルギーというか、熊川さんはじめ他のダンサーたちの熱量を思い出しました。またバレエは音楽・衣装・デザイン・哲学等が合わさる「総合芸術である」ということを肌で感じる経験をさせて貰えていたなぁとも。

 

さて、15日の19時(日本時間は16日午前1時)Youtube上で放送後24時間以内であればいつでも見られますし、お時間見つけて是非ご覧ください。

日本ではコンクールで『海賊』のバリエーションを踊ることが多いですが、どんな話のどんな流れの中で踊られる踊りなのか、作品理解のためにもこういう機会を利用して貰えたらと。

 

ふぁーにゃ
ふぁーにゃ
技術だけを競うのがバレエじゃないんだから。勘違いはダメよ

 

 

そのワンシーンの意味が分かると、踊りに膨らみが出ます。そういう勉強の機会は大切です。

では次回は『スパルタクス 』の解説します。

 

ふぁーにゃ
ふぁーにゃ
気が向いたらね

 

 

 

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総合芸術としてのバレエ

舞台というものは演者たちだけでは成り立ちません。裏舞台で支えている多くの人々の尽力あってこそ表舞台がより引き立ちます。
建築・歴史・哲学・文学・音楽・美術・デザイン・踊り・歌、全てを包括しているのが劇場芸術です。
生活の中で芸術はなくても良いものかも知れません。しかしあるとより豊かになるものだと私は考えます。 人でしか紡ぐことの出来ない伝統の世界。色んな角度から眺めてみると、きっと新しい発見があるはずです。

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