いろんな表情。ボリショイ劇場バックステージツアーの様子2019年4月20日

先日、モスクワ写真部の大野真理さんに、バックステージツアーの様子を撮影して頂きました。

この日舞台上にかかっていた舞台装置は、連日上演されていたオペラ『椿姫』

2012年の初演の時、プラゴン(ゲネプロ・本番同様の最終リハーサル)に招待して貰うことが出来、
ベリエタージュ(3階席)の一番端っこのボックス席で観て、とっても感動したことを今でもはっきり覚えています。

プロローグの紗幕
もうボリショイにはいないのですが、ヴェネーラ・ゲマディエヴァの歌は素晴らしかったです

 

今回ツアーでは舞台上にこの舞台の装置がかかっていました。

こちらは2012年の舞台の時のカーテンコールの様子⬇️

いつもはボリショイ劇場美術館員の方が何かあった時のために付き添ってくれるのですが、この日は一人で回りなさいと良い意味で放置?され、お客さんと雑談をしながらゆっくりのんびり回りました。

オーケストラピット
どの席が良いかの座り比べをしたり
天井桟敷からの見え方を体験してもらったり
上から見ると全然景色が違います

大リハーサル・ルームでは、5月に初演のあるオペラ『エフゲニー・オネーギン』のリハーサルをしており、椅子から右足で立ち上がるだのパートナーの腕をとる音だの腕を組むタイミングだの細かな演技指導をしているところで、まさに「創っている」過程を見学することができました。

少人数ということもあり、衣裳部屋の刺繍担当の方達のお部屋にも入れて貰うことができ

アポロンの後ろ姿

この場所も見せて貰えました。

*残念ながら衣裳部屋は作業の状況や人数の関係で入室出来ないことの方が多いのですが、この日はお針子さんも時間があったようで、色々見せてくれました。

なかなかスポットライトの当たらない彼女達の仕事ぶり。
自分たちの職人技を知って欲しいという願望はあっても、やはり裏方さんたちです。
彼女達の仕事っぷりを日本での展覧会でご紹介出来ると良いなと考えています。

 

赤の美しい皇帝の間
いろんな部屋を回ります

 

地下のベートーベンホール

ツアーを始めて丸7年ですが、劇場は一度として同じ状態だったことはありません。

舞台もその日のキャスト、アーティストの体調、オーケストラとの呼吸、そしてお客さんとの空気感の共有で、たとえ同じ演目でも「同じ」ということがないのが舞台芸術です。それはツアーも同様。

似ている状況ということはありますが、それでもやはり常に何かしら違っており、
上演演目に合わせて転換作業をする裏方さん、練習をするアーティストたち、お掃除をするスタッフ、本当にいろんな人たちが作業をしている場所で、いつも違う顔を見せてくれます。
照明も一定ではありません。笑

オーケストラのリハーサルがあると、観客席で歴史の説明やお話が出来ず廊下に出てからになることもあり(その分リハーサルの演奏が聴けたり見れたりしますが)バレエやオペラのリハーサルが舞台上で行われていることもあれば、幕や防火用のシャッターがしまっていることも(!)あります。

その日のタイミングと私やお客さんたちの運にもよるのですが、そういったいろんな顔を見て貰って体感して貰うのが、このツアーの醍醐味だと思います。

生きている空間、そして人が伝統を紡いでいる空間。

そういう劇場を是非、覗きに来てください。

 

*次回のツアーは4月28日(日)11時からと、30日(火)12時からです*

静かにお客さんを待つ観客席は、「ドキドキ」が始まる場所です

真理さん、撮影ありがとうございました!!

 

 

 

 

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舞台というものは演者たちだけでは成り立ちません。裏舞台で支えている多くの人々の尽力あってこそ表舞台がより引き立ちます。
建築・歴史・哲学・文学・音楽・美術・デザイン・踊り・歌、全てを包括しているのが劇場芸術です。
生活の中で芸術はなくても良いものかも知れません。しかしあるとより豊かになるものだと私は考えます。 人でしか紡ぐことの出来ない伝統の世界。色んな角度から眺めてみると、きっと新しい発見があるはずです。

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