Monthly Archive: 3月 2016

『白鳥の湖』の名脇役

3月30日にボリス・アキーモフの芸術活動50周年を記念したコンサートがボリショイ劇場で予定されています。

左:アキーモフ 右:グリゴリーヴィチ

左:アキーモフ 右:グリゴリーヴィチ

彼はソ連時代、上の写真の右側ユーリー・グリゴローヴィチ芸術監督率いるボリショイ劇場の全盛期を飾った代表的なダンサーです。
簡単な略歴を・・・

1965年ボリショイバレエ学校を卒業後ボリショイ劇場へ入団。1979年にギチス(教授法の大学)も卒業。
1980ー88年にギチスでも教師としてクラスを持ち、1989年にボリショイ劇場でバレエ・マスターとなる。
その指導はロシアに留まらずロイヤルバレエ団やスカラ座、またドイツ等ヨーロッパの各地でも活躍。ロイヤルバレエ学校でも教える経験を持つ。
2000ー3年、ボリショイ劇場芸術監督
2001ー2005年、ボリショイバレエ学校の男子クラスとドゥエット(男女組んで踊るクラス担当)
2001ー2002年同学校の学校長を務め2002ー2005年は芸術監督となる
2013年よりボリショイ劇場でアドバイザーのような形でクラスやリハーサルを担当している

・・・とどっぷりバレエ漬けだったのがお分かりだと思います。

アキーモフ先生は(バレエ学校をうろうろしていたのを覚えているので、何となく私の中では先生という印象があります)ナタリア・ベスメルトノワ全盛期に活躍した(特に1960ー70年代)いつもその舞台を引き締める役として存在感のあるダンサーというイメージ。

学校で教えている様子ですね

学校での様子

現役時代はスパルタクスのクラッススや白鳥の湖の王子も踊っていますが、特筆するべきは彼のロットバルトだと思います。
小さい写真ですが見付けました!この眼力凄すぎます。

ぎょろり

キャラクターダンスを得意とし、ロシアの民族舞踊を元にした小作品を振り付けているのこともあり、いわゆるキャラクターの強い役柄は大得意でした。そんな彼が演じるロットバルトの存在感は今でも右に出る者はいないのではないでしょうか。古典作品は特に王子やお姫様が主役なのは勿論ですが、バレエはそれだけではありません。《額縁あってこそはじめて絵画は引き立つ》のと一緒で、コールドや脇役の活躍あってこそ、舞台はより生き生きし観客を魅了します。こういった舞台全体を引き締める名脇役の存在は舞台を盛り上げる上でやはりなくてはならない存在ですね。そういうダンサーの代表格と言えるかなと思います。自分だけが目立とうとすると全体のバランスを崩してしまいますが、彼は目立ちながらも自分の立ち位置を守って、配慮豊かな踊りをしていたダンサーです。昔はそう言った名ダンサーが沢山いました。だからこそ、ボリショイの舞台はいつも華やかでダイナミックで、世界中で愛されたのだと思います。主役だけでない、全体の総合力がとてもパワフルなんですね。

Фото Гаралея(フォト・ギャラリー)というページを見付けました。ナロードニー・アルチスト(国民芸術家)の称号を貰ったアーチスト達の写真が掲載されています。このページのАкимов Борисをクリックすると、現役時代の迫力ある写真が見られます

プロの舞台は技術は出来ていて当たり前。観客はダンサーから溢れ出る情緒や表現、そして人間性に惹き付けられるんですね。やはり踊りはその人の人柄が出ます。

スパルタクスのクラッスス

『スパルタクス』よりクラッスス

そして彼の指導は自身が踊っていたことから、動きの的確さ、見栄え、サポートの大切さなど「気付かせる」やり方でクラス(レッスン)を出します。特にプロのダンサーのクラスにおいては常に明るく元気な様子ですが、無駄なことを言わず個々が自分に必要なものを気付かせるクラスを出すと聞いています。そして自身が動いてみせることで、勘の良いダンサーは「ここ」という所に気がつくんですね。芸は盗むものですから。

こちらの映像は振付:ユーリー・グリゴローヴィチ/指揮:アリギス・ジュライテス
ナタ−リア・ベスメルトノワ/アレクサンドル・バガチリェフによる《白鳥の湖》です。
現在のボリショイ劇場で上演されている振付はここからグリゴロ−ヴィチによって短縮されたものですが、その短縮される前の長いバージョンです。不朽の名作とは正にこういう作品の事を指すと思います。
http://yandex.ru/video/search?source=tableau_images&p=1&filmId=ATHmlQ1b0Cw&text=борис%20акимов%20большой%20театр

現代では足を思い切り上げたりやたら長くキープしたり、ぐるぐる回転したりというような技術に重きを置きがちな傾向があります。しかしこの頃のダンサー達は、一見雑なように見える中に気品と、今のダンサーにはない細やかな足の動かし方をしています。そして何よりも情緒性があり気品に溢れています。足がどのくらい上がるかとかターン・アウト(外開き)がどこまで開くかとか、そういうことではなく、バレエというのが「魅せる芸術」であると言うことを体現していた時代だったのではないでしょうか。

そしてこちらの映像の一番始めのロットバルトの3幕のシーン。是非ご覧下さい。

「ボリショイ劇場は私の第2の家だ」と言っていますが..。

ソ連時代のボリショイ劇場を華やかに飾った名舞踊家。現在はダンサーを育て自身の経験を伝える役割を担っているわけですが、まだまだ元気で活躍して欲しいなと思います。

パスチラのふるさと、コロムナ

皆さん、パスチラというお菓子をご存知でしょうか?

ふわふわタイプのパスチラ

ふわふわタイプのパスチラ

ロシアに昔からあるリンゴとはちみつで作られたお菓子です。
リンゴのピューレにお砂糖やはちみつ、またベリーなどを入れて作るとても素朴なお菓子。卵白を入れるタイプのものもあり、それだとマシュマロにもちょっと似ています。
先月電車でお出かけしてきました。コンソモリスカヤのカザン駅から電車で2時間弱のちょっとした遠出です。

前から友人に話は聞いており、絶対行ってみたいと思っていた街です。そして丁度3月8日のバシモイ・マルタが控えていたので、今回は周りの方へのプレゼントとしてパスチラを買うのも目的の一つ。

受付にいるお姉様方。衣装も古い内装も素敵

受付にいるお姉様方。衣装も古い内装も素敵

飾ってあるお土産用のパスチラたち。箱のレベルが高くてびっくり!本当に可愛かったです

飾ってあるお土産用のパスチラたち。箱のレベルが高くてびっくり!本当に可愛かったです

今回、パスチラ博物館と工場どちらも見学してきました。博物館では昔風のドレスを着た女性がまずパスチラの歴史をお話してくれて、その後に奥にある客間で試食。その試食の際はドストエフスキーと彼の奥さんの恋の始まりに纏わるエピソードを演劇風に披露しながらでとても面白かったです。

案内人のお姉さん。衣装が可愛かったです

案内人のお姉さん

《お茶とドストエフスキー》の葉書を記念に貰いました。その場で投函出来るということで、18世紀の様に万年筆でお手紙を書きました。

《お茶とドストエフスキー》の葉書を記念に貰いました。その場で投函出来るということで、18世紀の様に万年筆でお手紙を書きました

試食のお部屋

試食のお部屋。やはり案内人の女性は昔ながらの衣装。部屋の雰囲気にピッタリ

色んな種類のパスチラを楽しめます。個人的にはどっしりしたタイプが好きでした

色んな種類のパスチラを楽しめます。個人的にはずっしりしたタイプが好きでした

昔風に、お茶とお菓子をセットしたテーブル

昔風に、お茶とお菓子をセットしたテーブル

 

さて次はパスチラ工場博物館(музейная фабрика пастилы)へ。

入り口も可愛い。

入り口も可愛い

ここでも案内人の方達は当時の様子を再現するように俳優の様に演劇で案内してくれます。リアルなのでとても面白かったです。

イワン君と職人さん

イワン君と職人さん

お手伝い中

お手伝い中。メレンゲたっぷりのふわふわのパスチラです

どうですか〜?

どうですか〜?

演劇風に説明しつつ当時の日常を再現

演劇風に説明しつつ当時の日常を再現

笛を吹きながら登場!

じゃーん!笛を吹きながら登場!注)この人も普通の従業員です。

最後にまた試食。

最後にまた試食

パスチラの歴史や作る工程が聞けます。全てロシア語なのですが、とにかく本当に俳優さんの様に演技も上手で面白かったです。パスチラの里として誇りを持って地元の人々が街をあげて頑張っている感じがしました。
ちなみに美味しいパスチラには酸っぱいリンゴが欠かせないそうですよ。

工場の奥にあるお店

工場の奥にあるお店

お店にはパスチラの他にジャムやシロップなどもありました。

ジャム。ベリーのものが沢山あり、買おうか迷いましたが思いので断念

ジャム。ベリーのものが沢山あり買おうか迷いましたが重いので断念

このシロップも気になりました。。勿論手は出しませんでしたが。

このシロップも気になりました。。勿論手は出しませんでしたが

 

スーパーで市販されているパスチラを食べたことはありますが、決して美味しいとは思えない為今まで一度も自分では購入したことがありませんでした。しかし、「絶対変わりますから!」とイチオシのIさんの言葉を信じ、そして写真で見た箱のクオリティの高さに惹かれずっと行きたいと思っていた私。やー、ほんと行って良かったです!そして180度、パスチラへの思いが変わりました(笑)

一緒に行ったIさんのブログ→こちら☆ この彼女のこのブログを見ていつか行かねば・・・と思っておりました。

そして無事帰宅。じゃーん!!

戦利品。買いすぎです。重すぎて肩がちぎれそうでした

戦利品。買いすぎです。重すぎて肩がちぎれそうでした。それぞれ2・3箱ずつ購入しています

ウイリアム・モリス柄。箱が本当に可愛い

ウイリアム・モリス柄。箱が本当に可愛い

こんなのや

こんなのや

こんなのもあります

こんなのもあります

ちなみにコロムナにはオーガニックの石鹸もあります。モスクワのとあるショッピングセンターで見付けて惚れてしまい購入。今回も勿論買ってきました。

トレチャコフ美術館とコラボ

トレチャコフ美術館とコラボ

箱がカンディンスキ−の絵になっています

箱がカンディンスキ−の絵になっています

まるでお菓子のような石鹸

まるでお菓子のような石鹸

ローズ、だいだいの花、リンゴの花の香りの石鹸を購入

ローズ、だいだいの花、リンゴの花の香りの石鹸を購入。どれも優しい香りです。

とにかく、パスチラも石鹸も、パッケージがとても素敵。レベルが高いです。ロシアもやれば出来るでないか!と鼻息荒くなってしまいました。笑

プレゼントは勿論日本へのお土産にも喜ばれそうです。ただパスチラは防腐剤等を使っていない為1ヶ月しか持たないので注意です。固くなってしまいます。

友人にあげるはずだったリンゴのパスチラ。賞味期限が短かったので自分で頂きました

友人にあげるはずだったリンゴのパスチラ。賞味期限が短かったので自分で頂きました

こんなかんじ。ずっしりしています。

こんなかんじ。ずっしりしています。

知人曰く、信州のみすゞ飴に似ているとのこと。
何となく食べたことあるような、懐かしいような素朴な味ですよ。
美術館/美術館工場いずれもツアーの予約しなくてはいけません。コロムナに到着したらまず時間を確認しに美術館と工場に行ってみて下さい。
今回は美術館は一人350ルーブル+写真撮影で200ルーブルでした。
コロムナパスチラ情報 http://kolomnapastila.ru
美術館情報 http://kolomnapastila.ru/museum/
英語もあります http://kolomnapastila.ru/en/
こちらには料金表とモスクワからの列車の時刻表、簡単な地図も載っています http://kolomnapastila.ru/museum_info/#price

だんだん日も長くなってきましたし良い季節もすぐそこ。是非足を伸ばしてお出かけしてみて下さい。パスチラの他にクレムリンの城壁や教会もあり、ぶらぶら観光も楽しいと思います。夏は緑も多くて気持ちが良いと思います。とにかく郊外は空気も綺麗で時間の流れが穏やかですし、たまにモスクワを抜け出そうと改めて思いました。

昔ながらの製法とレシピを守り、大事に伝統を守ってきているコロムナ。パスチラはエカテリーナ女帝にも献上したとか。昔からロシアの人々に愛されたお菓子なんですね。素朴で健康的なあれこれ添加物が入っていないこのお菓子は、これからもずっとコロムナの人々の間で受け継がれていくんだと思います。そしてロシア各地を含め世界中の人たちをほっこり笑顔にするんでしょうね。伝統がお菓子作りの中にも息づいています。

 

☆おまけ☆
るんるんパスチラを並べている私の周りをうろうろしていたふぁーさん。くんくん興味津々。気付いたら箱の上に乗っかっていて焦りました。しかし箱は中々丈夫で潰れなくて一安心。。

私の分あるの?

私の分あるの?

酔狂な・・・ヤレヤレ

ないのか。こんなに沢山酔狂な・・・ヤレヤレ