先日サンクトへ行ってきましたが、今回の最大の目的はマリンスキー劇場でミハイル・シェミャーキン演出/美術、キリル・シモノフ改訂/振付の『くるみ割り人形』を観ることでした。
2007年/ゲルギエフ指揮@マリンスキー劇場の映像です。こちらのサイトで観られます
https://my.mail.ru/list/kapa/video/181/601.html
*この映像でドロッセルマイヤーを演じているアダセンスキーは名演。実際にこの舞台を観ている友人は彼の為にある舞台だと言っていました。生の舞台を観たなんて羨ましい限り!
ずっと観たいと思っていたので念願叶いました。とにかく舞台も装置も衣装も何もかも、徹底的にシェミャーキン・ワールド。
グロテスクだの変わっているだのマリンスキーらしくない等と評価は色々聞いてきましたが、正直、私はこれはありだと思いました。マリンスキー劇場のダンサーもだんだんと良い意味でも悪い意味でも変わってきていますし、いわゆる昔からあるワイノーネン版の『くるみ割り人形』も上演を続けているのなら双方ともレパートリーとして持っていても良いのではないかと。しかしこれだけが『くるみ割り人形』です、となると話は別だと思いますが。
この『くるみ割り人形』は子どもは大人の犠牲者であるとか独裁政治の暗い過去だとか、色々とブラックな側面を反映しているようですが、キリル・シモノフの解釈とシェミャーキンの世界観がマッチしたのだとは思います。そうして化学反応が起こり新しい作品が生み出されるということに関しては、これはきっと成功なのだと思います。ちなみにキリル・シモノフはフィギアスケートのプルシェンコの振付もしていますね。
ホフマン原作と思うと、こういうブラックな演出になるのもなんとなく納得します。
良く考えてみると、古典作品と言われるチャイコフスキーの『白鳥の湖』『くるみ割り人形』『眠れる森の美女』をはじめ、『ロミオとジュリエット』『ジゼル』等々、クラシック・バレエの人気は落ちてはいませんが、その古典作品のリメイクというか、改訂版や違う解釈による振付を試みる事は世界中を見ても今に始まったことではありません。
・・・それにしても
舞台セットは勿論、衣装も何もかもシェミャーキンの世界観満載・・・本当に独特でした。
こちらシェミャーキンについての記事↓
http://jp.rbth.com/multimedia/pictures/2013/11/29/46223
さて、この舞台を観てしみじみ感じたのは、やはり時間が経つと言うことは変化しているということだということ。
ボリショイ劇場で起こっている現状にも繋がります。またこれは次回にここに書きたいと思います。
ちょっとぼやけていますが写真を数枚。
そしてとても印象的だったのは・・・
今までこれほど目で追うのが楽しかった花のワルツはなかったです。コールドのフォーメーションの変化、独特な色遣いの衣装と配色、おうどう色・緑・青・紫色の4人のソリストと、その4色から派生した色の衣装で、とにかく動き回ります。花のワルツと言えば息つく間もなく周りのコールドも動き続けるイメージですが、ここの演出はほんとにもうずっとくるくると動き回り、色の華やかさを最大限に生かした振付と言えるのではないかなと思います。とても美しかったです。
機会があったら是非これは生の舞台で観て頂きたい。舞台上にある絵や装置のことを一緒に行った仲間とあれこれ話し合うのも楽しいですし、とにかく話題が尽きません。色の使い方はとにかく必見!