新年ということでやはり観ておきたい!と思い立ち、バレエ『くるみ割り人形』を観てきました。
ノーバヤ・オペラというエルミタージュ公園の中にある劇場で、
今年はРусский класический балет имени М.Петипа (Russian Classical Ballet)が上演しています。
このバレエ団は2007年に発足したツアーカンパニーのようです。
演出はワイノーネン版をベースにしているものでした。
時期的に親子連れが多く子供も沢山いて大盛況。
彼らは幕が上がると指を差して「見てーママ!」など思わず声を出してしまったり。笑
隣に座っていたおばあちゃんが、ダンサーが出てくる度、何かリフトなどの大技があった時、またパッと照明がついた時などなどにいちいち「あらー」とか「すごい!」とか「素晴らしい!」とか呟いていて、あぁそうだよな、劇場ってそういう場所だよなーと改めて感じました。
やはりチャイコフスキーのはじめの序曲の旋律が始まった時は「きたーーー」とじわじわテンションが上がります。
*余談ですが・・・
以前から好きだったこの動画の演奏。今回改めて指揮者について調べたら分かったのがこちら。彼はロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者、ヤニック・ネゼ=セガン/Yannick Nézet-Séguinでした。この演奏本当にとても良いです。バレエなしでも聴いていてとても気分の良くなるテンポと滑らかさです。いつかこの指揮者のコンサート聴きに行きたい!
・・・さて話は戻り、じわじわくるのはこのはじまりの序曲。
しかし今回の演出は幕が開いたら後はすぐに家の中のシーンになりちょっと拍子抜けでした。(この動画でいうと序曲が終わったら一気に6:20に飛んでしまいます)というのも、通常はお客さんたちが主役のマーシャ(クララ)のお家に向かう外の情景の部分の曲が入ります(3:20から始まる情景のシーン)この、招待されたお家の中でのお話が始まるよーという導入場面がカットされていたんです。
演出や編曲はバレエ団によって異なるので仕方ありませんが、流れがぷつっと切れてしまうようなちょっとした違和感を感じました。
しかし、改めてチャイコフスキーの曲ってすごくドラマチックだし、ファンタジー溢れています。踊りはもちろんですが、盛り上がり方や見せ場をしっかり抑えています。
この曲もバレエも、もう120年以上前に誕生している作品なんですよね。。何度も改訂を繰り返しつつも、現代でもこんなに愛されている作品ってやっぱり有無を言わせない説得力があります。継承されている演出や振り付けはある程度完成されるので一定以上の満足感が絶対にあるというか。
ダンサーたちの踊りはもちろんですが、魅せる装飾、お話を想像させる衣装、キャラクターたちの個性など様々な掛け合いが舞台の上にはあふれています。
ベースにある物語、舞台装飾、衣装、照明、そして音楽とダンサーと観客、全てが揃っての “箱芸術” ですね。
皆がワクワクしながら一心に舞台を楽しんでいる姿を見て、尚更そのことを感じる時間でした。
劇場という場所はお客さんが集まって初めて成り立つもので、またお客さんが舞台を育てるものでもあります。
隣のおばあちゃんは最後までブラボー!と呼びかけ惜しみない拍手を送っていました。
そしてノーバヤ・オペラのオーケストラはいつ聴いてもやっぱりいいです。
モスクワに滞在されている方・また何か舞台を観たい方、この『くるみ割り人形』は1月8日までの連日2公演と、飛んで13日(日)も上演がありますよー
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