極寒クリスマス(1/7)となったモスクワ。
マイナス30度近くなると、外に出た瞬間目がパリっという感覚を覚えます。眼球が凍ると知人が言っていました。笑
確かにそういう感覚です。
そして鼻の中が一瞬で凍り、ちくちくします。
頬もぴりぴりしてくるので、出掛ける前にはクリームやワセリンなどを塗っておく方が安心。
そんな中、
モスクワ国立クラシックバレエカサートキナ&ワシリョーフの『くるみ割り人形』の舞台を観に行ってきました。
連日公演の最終日ということもあり、皆かなりお疲れだったと思いますが、皆良く踊りきりました!!さすがです。1月2日の夜公演でスタートし、その後3日から8日まで(7日だけお休み)1日2公演ずつというハードスケジュールをこなしていました。
このバレエ団で日本人の友人が踊っているのですが、既に大ベテラン。吉田むつきさんと言います。バレエ学校留学時代からの戦友(笑) キャストも彼女しか踊れないという役も多く、任せておけば大丈夫というバレエ団の甘え?が彼女を疲労させているようにも思うのですが・・・しかしその信用を得られるというのは並大抵のことではありません。
バレエ団はプリマ・ソリスト・コールドバレエ(群舞)等と分けられていますが、その階級によって踊るものが変わっていきます。ベテランにしか踊れないものもありますが、作品を引き継いでいく若手も舞台経験を踏まないと育ちません。
つまりバレエ団は若いダンサーを「育てる」役割も担っています。若手に多少無理させたり思い切った経験をさせたりすることはどこの世界でも同様ですよね。ロシアの劇場やバレエ団はとにかく舞台数が多いので、挑戦出来る場数は圧倒的に多いです。だからこそ舞台度胸がつくダンサーが増えますし、観客の層が厚いのも踊り手が育つ所以です。
この日の主役は大ベテランのオグネワと新人の男の子。彼が彼女に引っ張られてどんどん良くなっていく感じがしました。やはり、一緒に踊る事でしか学べないことが沢山あります。彼女の堂々とした振る舞いや呼吸など、側にいると引っ張られるんですね。それが芸というものだと思います。
どうなりたいか目標とする人を定めたり、どこに身を置くかというのはとても重要なことだと思います。
また舞台はプリマだけいても仕方がありません。主役だけでなく群舞や周りがいることで、はじめて生き生きとし観客を楽しませてくれるスペクタクルとなるんですね。
つまり有名な絵も、額縁がないと引き立たないのと同じです。
バレエは物語を言葉を使わず、踊りと音楽と衣装そして舞台美術で創り出すエンターテイメントであり総合芸術。それを時代時代のダンサー達が身体を通して引き継いでいく。
そうやって舞台芸術という形の残らない芸術が残っていきます。
丁度大寒波に見舞われた新年。晴れた日が続くとても気持ちの良いお正月休みとなりました。