劇場

新企画*劇場芸術の多面性を知って貰うために

ボリショイ劇場のバックステージツアーの案内を始めて、丁度5年が経とうとしています。

この方はそろそろ3歳。視線の先には何がいるんだろう・・・

このツアーはロシアの劇場芸術の伝統を知って貰うことは勿論、舞台って何だか良く分からないという方に、

「バレエ=女性だけのものという思い込みに気付いて貰う」

「観劇に対するハードルを下げる」

「バレエや舞台に対する偏見を少しでも払拭する」

ということが最大の目的です。

しかしロシアにいらっしゃる日本人の数はそこまで多くありません。もっと広く沢山の人に知って貰える機会を作れないだろうかという思いが常にあり、ずっと前から温めていた案を思い切って劇場に提案したところ、快諾を得ることが出来ました。

『ボリショイ劇場芸術展』を日本で開催します。

舞台は生ものなので観劇こそ、その魅力を知る一番の手立てなのですが、いきなり観劇っていうのもハードルが高い/チケットは高価で手が出しにくい/そもそも男だと観に行きにくい・・・と感じている方も多いのが現状です。

しかし舞台芸術は、ダンサーや歌手だけでは成り立たず、文学という題材があり、音楽、美術、デザイン、照明技術、舞台装置、全てが揃って初めて出来上がります。つまり、一つの舞台を創作するために様々な分野の人たちが、日々化学反応を起こしているんですね。

例えばこんなユニークなデッサン画だったり

「サロメ」1921年の衣装デッサンも。アルバムから抜粋

劇場という場所はロシアの文化・芸術エッセンスがぎっしりつまっていて、更に言うと国家の凝縮版と言っても過言でないほど色んな事が濃縮された場所です。

ロシア語、劇場、建築、デザイン、ロシア美術、オペラ、文学、チャイコフスキーやトルストイ等々・・・

「ロシア」に纏わるキーワードにちょっとでもひっかかる人たち、歴史好きの人、そして美術やデザイン、カラーコーディネートや衣装、音楽は勿論、身体能力の高さはピカイチ・アスリートなダンサーたちの動き、人間ってすごい!としか思えない全身楽器のような声の歌手、そんなこんなが好きな人たちの興味を満たす要素が実はたっぷり詰め込まれた場所。それが劇場です。
よく考えたら、これらは男女関係なく色んな人が楽しんでいるものですよね。

こんな衣装もあります

「舞台って何だろう?何がどう関わって出来ているんだろう?」
こういった疑問を紐解きながら、舞台芸術の多面性を知って貰えたらという思いがあります。踊りや歌などのパフォーマンスは勿論ですが、それ以外のディテールも楽しめるのが劇場芸術の醍醐味なんです。

こちらはドム・ナショーキナ(モスクワ)での展示会。真ん中にある『ボリス・ゴドノフ』の衣装は日本にも持って行きたいと考えています

 

総合的なプロデュースを任されているのでこれからどんどん動いて行く予定ですが、皆さんのご提案、意見、希望、そして応援メッセージなど(笑)美術館関係者の方を含め、メディアや各企業、そしてロシアやボリショイ劇場に興味のある方、ご連絡頂ければ幸いです。

ロシアや劇場と日本そしてアート好きな方を繋げ新しい発見が出来るような、そんなわくわくする機会を作りますっ♪

こちらから時々進捗状況をアップしていくので是非覗いて下さいね。どうぞ宜しくお願い致します!

 

 

 

極寒クリスマスとくるみ割り人形

極寒クリスマス(1/7)となったモスクワ。

分かりますか?吐く息で髪の毛が凍っています

マイナス30度近くなると、外に出た瞬間目がパリっという感覚を覚えます。眼球が凍ると知人が言っていました。笑
確かにそういう感覚です。
そして鼻の中が一瞬で凍り、ちくちくします。
頬もぴりぴりしてくるので、出掛ける前にはクリームやワセリンなどを塗っておく方が安心。

そんな中、

モスクワ国立クラシックバレエカサートキナ&ワシリョーフの『くるみ割り人形』の舞台を観に行ってきました。

連日公演の最終日ということもあり、皆かなりお疲れだったと思いますが、皆良く踊りきりました!!さすがです。1月2日の夜公演でスタートし、その後3日から8日まで(7日だけお休み)1日2公演ずつというハードスケジュールをこなしていました。

このバレエ団で日本人の友人が踊っているのですが、既に大ベテラン。吉田むつきさんと言います。バレエ学校留学時代からの戦友(笑) キャストも彼女しか踊れないという役も多く、任せておけば大丈夫というバレエ団の甘え?が彼女を疲労させているようにも思うのですが・・・しかしその信用を得られるというのは並大抵のことではありません。

毎度おなじみ2幕の中国の踊り。カーテンコールにて

バレエ団はプリマ・ソリスト・コールドバレエ(群舞)等と分けられていますが、その階級によって踊るものが変わっていきます。ベテランにしか踊れないものもありますが、作品を引き継いでいく若手も舞台経験を踏まないと育ちません。
つまりバレエ団は若いダンサーを「育てる」役割も担っています。若手に多少無理させたり思い切った経験をさせたりすることはどこの世界でも同様ですよね。ロシアの劇場やバレエ団はとにかく舞台数が多いので、挑戦出来る場数は圧倒的に多いです。だからこそ舞台度胸がつくダンサーが増えますし、観客の層が厚いのも踊り手が育つ所以です。

主役のふたり 左:ガジムラード・ダーエフ 右:ナタリヤ・オグネワ

この日の主役は大ベテランのオグネワと新人の男の子。彼が彼女に引っ張られてどんどん良くなっていく感じがしました。やはり、一緒に踊る事でしか学べないことが沢山あります。彼女の堂々とした振る舞いや呼吸など、側にいると引っ張られるんですね。それが芸というものだと思います。

どうなりたいか目標とする人を定めたり、どこに身を置くかというのはとても重要なことだと思います。

また舞台はプリマだけいても仕方がありません。主役だけでなく群舞や周りがいることで、はじめて生き生きとし観客を楽しませてくれるスペクタクルとなるんですね。

つまり有名な絵も、額縁がないと引き立たないのと同じです。

バレエは物語を言葉を使わず、踊りと音楽と衣装そして舞台美術で創り出すエンターテイメントであり総合芸術。それを時代時代のダンサー達が身体を通して引き継いでいく。
そうやって舞台芸術という形の残らない芸術が残っていきます。

真っ直ぐに伸びた不思議な雲が1日中ずっと流れていました

丁度大寒波に見舞われた新年。晴れた日が続くとても気持ちの良いお正月休みとなりました。