Author Archive: mavita

京都 ①

一時帰国を終えモスクワへ戻ってきました。
今回用事があって2度京都を訪れたのですが、やはり大好きな場所だと改めて感じました。

IMG_6773

お気に入りの喫茶店『フランソワ』へ

私にとって4年間の大学生活は、バレエのない、追われることのない(追い詰める必要のない)穏やかな時間でした。
好きな授業を時間の許す限り聴講出来るって、なんて恵まれた時間なのだと、在学中もしみじみ思いながら過ごしていたのを覚えています。
25歳で学生になると、訳が分からず単位を取るために授業を受けるのではなく、勉強出来ることの面白さが分かって良かったなと思います。
しかし入学式ではサークルのビラを貰えず、一瞬配られても顔を見て「すみません!」と引っ込められ(25歳は院生もしくは博士課程くらいの年齢ですし、18・19歳の高校卒業後の学生さんからすると、大人だなと勝手に思われていただろうな〜と思います。笑)一抹の不安を覚えましたが、関西人の人なつっこさ、そして美学芸術学科という変わり者?が集まる学科のお陰様で、年の違う私のことも快く受け入れてくれる仲間に巡り合えました。
その仲間とも出会って来年で10年。本当に時間が経つのが早いなと改めて思います。

毎朝散歩していた御所にも訪れ、気持ちを落ち着かせてくれていた白雲神社でもお参り。
IMG_6308
「美しい御所の松の木に、私は恋に落ちました」と目を潤ませて話していたウクライナ人の友人の言葉を思い出します。
IMG_6301

庭師さんが作業中でした

作業中の庭師さんたち

京都の底冷えは相変わらずでしたが、お天気にも恵まれお散歩を満喫♪ 梅の花も少し顔を見せてくれていました。
IMG_6311
1月から4月にかけて、梅→桃→桜と季節の移ろいを楽しませてくれる御所。贅沢な時間を過ごさせて貰っていたことに思いを馳せます。

中学卒業後からずっとバレエ漬けの毎日で、8年以上勉強から離れていた私は「試験勉強とはなんぞや?」という位さっぱり勉強というものを忘れていました。しかしすっぱりバレエ団を退団していたこともあり、後戻り出来ず・・・
一心不乱に大検(高等学校卒業程度認定試験)の勉強に打ち込み半年で全科目習得。←これは体力で乗り切ったと言っても過言ではありません。
その後本格的に大学受験勉強が始まり愕然としました。受験がいかに大変かを知っていたら、私はきっと挑戦出来なかったと思います。“知らぬが仏”とは良く言ったもので、正に知らなかったからこそ飛び込めた世界でした。

バレエを辞めると宣言したときに「中卒のお前なんかどこの企業も採用しない。仕事何すんねん?」と兄にばっさり切られた時は、良く分かっていませんでしたが、受験勉強を始めてみて「学歴」というものをいかに社会が重視しているかを痛感しました。そのひりひりした感じは今でも好きではありませんし学歴に甘んじている人を見ると虫唾が走りますが、世間や自分を含め、人は良くも悪くもそこで評価する未熟さがありますね。

そんなこんなで大学へ入る前のこの2年間はバレエとはまた全く違うプレッシャーがあり、踊ってしまえたら・・・!と机をひっくり返したかったことが何度もありました。笑

そして勉強以外でも私の人生をひっくり返すほど大変なことがあり、考えないようにするために益々受験勉強にのめり込んだ私は一時期身体を壊して入院。丁度バレエを止めて1年後、踊らないことに身体が限界になり、我慢出来なくなっていたことも重なったのだと思います。

しかし全てはちゃんと時間が癒してくれるものです。

一生懸命頑張っていたら、目の前にあることとこつこつ向き合っていたら、きっとちゃんと次に繋がるようになるんです。

そして京都に拾って貰え、晴れて大学生になり、有意義としか言えない時間をゆったり過ごさせて貰いました。
IMG_6312
「学生さん」と立場が守られ、自分の為に使える時間がたっぷりあり、自由を謳歌出来る大学生。
バイト三昧も良し、部活やサークルに熱を注ぐも良し、一歩大人になった恋愛も、何もかも自己責任。
“皆一緒”というひとくくりから抜け出す準備期間で、群れから離れるにもとても良い機会です。
必要だと感じる勉強が出来、その知識を一生活かせるよう自分の人生を豊かにする種まきが出来るのもこの時期。

そんな贅沢な時間を、これから大学生になる高校生には思い切り楽しんで貰いたい。
否応なく過ぎていく時間が、ほんの束の間区切られるひととき。

自分の為に大切に過ごして欲しいと思います。

 

谷崎潤一郎『秘密』の朗読劇

久しぶりのブログ更新です。モスクワを暫し離れ、遅ればせながらのお正月休みを日本で過ごしています。

昨日福井市美術館にて朗読劇を観てきました。

福井市美術館

福井市美術館

名古屋を拠点にし、全国で公演を行っている「劇団クセックACT」の看板俳優榊原忠美さんと、福井FM放送のアナウンサー飴田彩子さんによる“ブランノワール”の朗読です。

朗読と音楽や踊りなどとコラボする朗読劇を主催する今年9年目のグループだそうです。
IMG_6483
ブランノワールのサイトには
『朗読劇&音楽&照明&舞台&制作&美術のコラボレーション』とあるように
照明とシンプルな舞台設定により、朗読が引き立つ劇を展開しているんですね。

谷崎潤一郎

谷崎潤一郎

今回の題材は谷崎潤一郎の『秘密』
更にタップダンサーの浦上雄次さんとのコラボレーション。(浦上さんは北野武監督作品『座頭市』(2003年)にも出演されています)
途中、白地に赤と黒の模様の入った着物を肩からかけ風に乗せながらタップを踏んでいました。その姿は、カツンという音に合わせ空気もふるわせ、臨場感が出ていました。特に「路地で雨がざあざあ降っている」というシーンでの連続的な足を踏む音は、まるで観客もその路地に迷い込んだような錯覚を与えるのに十分な効果がありました。

谷崎潤一郎の『秘密』のあらすじはこちら

元いた環境から逃げ出したくなった「私」は、とある寺に住み着いた。夜な夜な読書したり酒を飲んだり変装したりして街に繰り出していたが、古着屋で見つけた小紋縮緬の袷をきっかけに本格的な女装をはじめる。古風なセンスとその美貌とで女性としての魅力に自信を持つようになった「私」だったが、ある日、昔関係を持っていたT女と再会する。それからお互い秘密を纏ったまま逢瀬を重ねていたが、男はその秘密が知りたくなり、ついには女の住処を突き止めてしまう。秘密を知った男はT女への興味を失くし、より色濃い、血だらけな歓楽を求めるようになる。(by Wikipedia)

谷崎潤一郎の小説はなんとなく耽美的というか、美しいものに酔いしれて痺れてしまっている?ような勝手な印象がありましたが、今回の『秘密』は正にそうですね。
福井FM放送のアナウンサー飴田彩子さんの朗読もどこかドスが効いており、妖しい謎の女のイメージがぴったりです。

IMG_6389

会場の様子。真ん中に大きめの舞台があり箱型の座れる黒い椅子が二つ。

会場の様子。真ん中に大きめの舞台があり箱型の座れる黒い椅子が二つ。

装飾とライトの効果も面白い

飾ってあった装飾とライトの効果も面白い

影や音を効果的に使う演出は、この『秘密』以外の作品にも見られる特徴だそう。朗読というと座って本を読むという動きの少ないイメージがありますが、効果的な照明、踊りや音楽とのコラボによって演劇でもありミュージカルの様でもある独特な世界を見せることが出来るものなんですね。
語り手の榊原忠美さんはジャン・ジオノ原作『木を植えた人』の朗読プロジェクトというのも主催しており、全国で活動されているそう。「話のどんぐりを植える」と語る彼の言葉は、ネットや情報にまみれた現代において、人の肉声で物語を展開し耳を傾けることという原点に回帰するような、人のぬくもりを伝える活動なのだなと感じました。

影絵の様な美術館。ちょっと宇宙ちっく

影絵の様な美術館。ちょっと宇宙ちっく

サイト等はこちら

劇団クセックACT 
木を植えた人のひとりごと(榊原忠美さんのブログ)
浦上雄次HP